マドレーヌのへそ
マドレーヌは、日本でも馴染みのあるフランス焼き菓子のひとつ。
映画『Le Transporteur2』(2005年・仏)では、Francois Berleand扮する仏人刑事が、バカンス先のマイアミでマドレーヌを焼く場面があった。
主人公は英国人Jason Stathamのカー・アクション映画。ポスターだけ見るとフランス映画に見えない。マドレーヌはフランス色を出そうとする演出だったのだろう。たぶん。
マドレーヌ、数あれど。
特に有名なのが、”Madeleine de Commercy”。
フランス北東部ロレーヌ地方のコメルシーという街がマドレーヌ発祥の場所なのだとか。パリのスーパーでも袋入りで販売されているほどポピュラーだ。
コメルシーのマドレーヌは、バター、小麦粉、卵、レモン、砂糖が主な材料。日本で昔からある丸型ではなく、貝殻の型で焼く。ベーキングパウダーを使い、ぽっこりとおへそのようなふくらみがあるのが特徴だ。
スタージュ先のレストランで、ミニャルディーズ用に小さなマドレーヌを焼いていた。
最初は”へそ”の存在など知らなかったのだが、パティシエールが「温度差を作るとよく膨らむよ」と教えてくれた。
生地を絞った型を少し冷やしてからオーブンに入れてみた。小さいけれど、それぞれちゃんとへそがぷっくり膨らんだ。
かわゆい・・・。
だれも気にもとめずにぽいと口に放り込むだろうけれど。
「昨日よりかわゆい”へそ”を!」。そこだけミョーにこだわって、毎日焼き続けたのだった。
※マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』で登場する”プチット・マドレーヌ”はcoquilles Saint-Jacques(ホタテ貝)の形の焼型。写真のマドレーヌよりもっと丸い。舞台になったCombrayという町にはそのマドレーヌが買われた店が存在するのだとか。
物語に出てくる料理を再現した本、『プルーストの食卓』(宝島社)を読み返すと、アラン・サンドランスが料理を担当していた! ベーキングパウダーは使わず、赤砂糖やはちみつを加えるルセット。焼き上がりはもっとしっかりした感じ?
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