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2010年7月 1日 (木)

ensemble, c'est tout

 

 日本代表、惜敗。
 彼らの闘志が痛いほど伝わっていただけに、ただただ残念だ。
 今後一層の活躍を期待するしかない。

 大躍進の立役者の一人、松井大輔選手について書かれた記事の一文が目に留まった。
 『2008年、フランスで松井が運転する車に乗せてもらった。路地を走る松井が「フランスは不便。でも、やり方と交渉次第でたいてい可能になる。いい加減だけど、そこが面白い」とつぶやいた』(6月30日付朝日新聞)

 フランスに6年。『キャプテン翼』チックなテクニシャンであっても、外国人。チーム、フランス人社会に馴染むためにいろんな努力や苦労をし、たくましさや図太さ、自信を得て今に至っているのだろう。日本では、”華やかなパリ”ばかりが強調され、実際に住んだ時とのギャップはあまり語られることはない。ぽつりと漏らした言葉にシンパシーを感じずにはいられなかった。

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 今回のW杯のフランス代表の問題で明かにされたように、フランスは人種、階級、宗教など根深い問題を抱える国でもある。

 フランス人でさえ大変なんだと知る映画が、オドレイ・トトゥギヨーム・カネ『Ensemble, c'est tout』(「幸せになるための恋のレシピ」2007年・仏)だ。

 パリのアパートの屋根裏に住む清掃員の女性、同じアパートに住む名家出身のインテリだが言語障害で希望の仕事に就けない男性、間借りするマッチョなキュイジニエの男性が織りなす物語。

 

 調理場のシーンのDVDジャケット(写真左)を見て、「料理のシーンが多そう!」と借りたのだが。
 心に暗い部分を抱えた若者たちが、都会で暮らす孤独感を埋め合わせるようにつながりを深めていく。お気楽なロマ・コメではない。
 質素な感じ、貧乏な感じ、不幸せな感じ、仕事に疲れた感じ、身勝手な感じなど、リアルに描かれすぎて、最初は見ていて息苦しい。寒々しい冬のパリ、古いアパートのすすけた感じ、薄暗い照明がもの哀しさを増長させている。

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 とはいえ、物語が進むにつれ、映画は少しずつ色彩を増していく。

 元気になると食欲がわくのか、食べるから元気になるのか。
 田舎の豚祭りLa Coupoleでの食事、キュイジニエが焼いたクレープ、誕生日のお祝い食事会…食事のシーンを通して、皆が生き生きしてくる様子が描かれる。食べることはやはり大切なのだ。

 

 6区、7区での撮影が多いのか?、懐かしい風景にもキュンとなる。(ギヨーム・カネの働くレストランはアンヴァリッドLe Divellec?) ローラン・ストッカー演じるフィリベールの人柄、イヴ・モンタン「A byciclette」の軽やかな歌声にも癒される。

 灰色の世界から一変。金色の光に包まれるような幸せなエンディングに胸が温かくなる。
 不便なフランス生活にお疲れのとき、ぜひぜひ。

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