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2008年11月

2008年11月30日 (日)

僕らが旅に出る理由 ⑦Sirop d'erable(メープルシロップ)

Img_1360  ケベック出身のカナダ人の友人からいただいたsirop d'erable(メープルシロップ)

 カナダの名産品で知られるが、このシロップは彼女の実家カエデの樹液を集めて作られた正真正銘の”自家製”だ。
 パリの彼女のアパートの戸棚にはこの缶がぎっしりストックされていた。

 

Photo_2 愛読書ローラ・インガルス『農場の少年』で主人公のアルマンゾがお父さんと一緒に樹液を集めてメープルシロップを作る場面を思い出した。あれは100年以上前のアメリカ・ニューヨークの話だったが、本当に家庭で手作りするのだ。感激。

 「それだけでいいの? もっと持っていって」
 パリジャンのアクセントに耳が慣れているせいか、ケベック・アクセントのフランス語はなぜかとても陽気に聞こえる。彼女の人柄みたいだ。気前のいいオファーを丁重に断り、2缶だけいただいた。

 2缶とはいえ、540ml入りの大缶。
 パンケーキにかけるくらいしか思いつかない。クレープにも良さそうだが、どちらもそれほど食べるものでもない。どうやって使えばいいか、聞いておけばよかった。持てあましているうちにずいぶん時間が経ち、今更聞きにくい・・・。

 「使い切れるだろうか?」と心配しながら、缶を開けてみた。
 傾けると、紅茶のような褐色の透明な液体が流れ出た。
 深みのある甘さだが、さらりとしているのでくどくない。
 はちみつとはまた違ったおいしさで、個人的にはパンケーキにはメープルシロップのほうが合うと思う。カリカリに焼いたベーコン、ソーセージ、そしてパンケーキの上でとろけたバターとシロップが混じり合えば、至福のブランチだ。

Img_1346_2  缶のふたにはtrempette a l'erableという、メープルシロップにケチャップ、マスタード、ニンニクなどを混ぜて作るソースのルセットが印刷されていた。「野菜に添えても、中華料理のタレにしてもいい」とある。なんとなく想像がつくような、つかないような。Sauce pour salade aux fruitsというのもあった。

 インターネットで調べてみると、砂糖の代用として使うほか、クレーム・ブリュレ、キャラメル、肉料理のソースなどメープルシロップを使ったルセット はいろいろありそうだ。

 昨夏の渡仏時に彼女を訪れたときも当然、
 「メープルシロップ、まだある? 持って帰らない?」
 大切にいただいています・・・と口ごもってしまい、おすすめレシピもまたまた聞きそびれてしまったのだった。 

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2008年11月25日 (火)

道具馬鹿一代  ⑰ココット

 

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 『料理通信』12月号によると、STAUBココットに代表される、黒船ならぬ”黒鍋”が日本のレストランで人気なのだとか。

 外国人の友人にプレゼントするばかりで南部鉄器はひとつも持っていないのに(欲しい!)、STAUBLe Creusetは複数持っている。
 下ごしらえをしておけば、あとはオーブンが調理してくれる。ブフ・ブルギニヨンなど煮込み料理に最適な鍋だ。

 ココット鍋に入っているだけで素朴な料理がおいしそうに見える、不思議な効果も見逃せない。特に黒い鍋には、黒い皿が料理を垢抜けて見せるのと同様、料理を美しく見せるエステティックな効果があるのだ。

 

 渡仏した当初、日本ではル・クルーゼの人気が圧倒的だったせいもあり、最初のソルドではル・クルーゼをいくつか買った。
 コルドンに通ったり、フランスの料理雑誌を読んだり、道具街をうろついたりするうちに、ストウブ派に移行。マイ・ファースト・ストウブ31㎝のオーヴァル(黒)だった。
 プロ仕様なデザインはもちろん、コンロやクッキングヒーター上よりオーブンでの使用が多いため、取っ手が金属のストウブに軍配が上がったのだ。

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 ストウブのラインナップはどれも心引かれるものばかりだが、なにしろ重い。スタッキングできないので場所もとるため、思うように買い足すことはできなかった。ソルド時期に安くなって売られているのをうらめしく眺めるばかりだった。

 そんな後ろ髪引かれまくりの私に、仏人の友人がプレゼントしてくださったのが、ル・クルーゼの陶器製のココット(ラムカン)。直径10㎝程度のミニ・ココットはかわいらしく、眺めているだけで幸せな気分になる。
 リエットやピクルス、ジャガイモのピュレを入れたり、スープや茶碗蒸しに使ってもいいスグレものでもある。(写真右は、アルマーニ先生のルセット"oeuf en cocotte a la tomate fraiche"にインスパイアされ、余りもののミートソース、チーズ、卵で作ったココット料理)

 

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 実は、帰国後、いまだに大型オーブンを買えずにいるため、ほとんどのココット鍋がオーブンに入らず、お蔵入りしている状態。黄色のストウブ(写真左)など、箱に入った新品のまま。宝の持ち腐れとはこのことだ(実際には腐れませんが)。

 

 ストウブのミニ・ココットを使うたび、その熱伝導や保温性の良さ、そして醸し出す雰囲気に「やっぱりいいな」と思う。20㎝くらいのコンパクトなサイズのストウブを買っておけばよかったと悔やむのだった。

 

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 ”黒鍋人気”到来円高還元で、日本での価格がぐぐぐっと下がることを密かに期待しているのだが・・・。

 





 ※買い損ねて製造中止になってしまい、ずっと探しているナス色のストウブN.Y.Zabarsのキッチン用品売り場で見つけたのだが、重いのと、フランスに住んでいながらフランス製の鍋をアメリカで買うことが愚行に思え、買う気になれなかった。
 こちらも今、心から後悔している・・・。在庫情報、求めます。

 

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2008年11月18日 (火)

オニグラ、始めました。

 

Img_1125_2    ぐっと寒くなってきた。
 北風がぴーぷー、吹いている。
 家の中にいても足元が冷えるほどだ。冬の日本の家は寒い。セントラル・ヒーティングでいつでも暖かなフランスのアパートが恋しくなる季節だ。

 作るのが簡単なこともあり、ついつい鍋物が多くなる我が家の食卓。おでん、キムチ鍋、水炊き、しゃぶしゃぶ、もつ鍋・・・今季すでに2周してしまい、早くも飽きてきた。
                

 ならば、と気分転換に作ったのが、オニオングラタンスープ(Soupe a l'oignon gratinee)(写真左)

 スライスしたタマネギをゆっくり、あめ色になるまで炒める。
 小麦粉、白ワイン、ポルト(あれば。マデーラ酒でもOK)を加え、コンポート状になるまで炒め、ブイヨンを加えて煮る。
 スープ皿に入れ、トーストしたバゲット、グリュイエールチーズ(なければ普通のチーズでOK)をのせ、オーブンで表面をこんがり焼く。甘いような、タマネギの香りが漂い、なんともいえない。

P1100521 ビヨーンと伸びるチーズ。灼熱のスープを吸ったバゲットはおでんのがんもに匹敵する熱さ。アチチ、やけどに注意だ!


 仏人マダムの料理教室でも教わった(写真右と左下)
 オニグラは家庭料理ライオンのエンボスでおなじみの陶器のスープつぼ”tete de lion”ではなく、大人数分をティアン型でまとめて作る。土の素朴で温かな雰囲気がおいしさを引き立てていた。
 大みそかのフェット夜更かしした時や、観劇の後など、”夜食”としていただくことが多いのだとか。

 

P1100523 コルドンの初級クラスでも習った。
 シェフいわく、「レ・アールのレストラン、ピエ・ド・コション(Au Pied de Cochon)のスペシャリテのひとつだよ。昔レ・アールに市場があったころ、そこで働く人たちが仕事帰りに食べたんだ」(注:そのころの名残なのか、レストランはフランスでは珍しく年中無休、24時間営業
  疲れが取れ、元気になるようにと白ワインの代わりに赤ワインを加えるルセットもあるのだとか。

 

 ラーメン、みたいな感じ?

 



 ○Au Pied de Cochon
  6 rue Coquillières
  75001 Paris
  Tél. : 01 40 13 77 00
  metro:Les Halles,Louvre Rivoli,Chatelet

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2008年11月10日 (月)

星に”疲れた”男

 11月9日付朝日新聞朝刊によると、ブルターニュ地方カンカルのレストラン「メゾン・ド・ブリクール」のシェフ、オリヴィエ・ローランジェ氏は同店を12月15日に閉店し、2006年以来キープしているミシュランの三つ星も返上すると発表した。肉体的についていけないのが理由だという。

 1996年のジョエル・ロビュションに始まり、アラン・サンドランス、アンワーヌ・ウエステルマンが星を返上してきた。それだけ、シェフたちにとってミシュランの星がもたらすプレッシャーは大きいということだ。「三つ星は時に、アキレス腱にもなり得る」とローランジェ氏は話す。(参考)

Img  このニュースで、久しぶりに手に取った本が、『星に憑かれた男』
 ブルゴーニュの今はなき名店「ラ・コート・ドール」のオーナー・シェフ、ベルナール・ロワゾーが悪戦苦闘しながらも三つ星を獲得するまでのサクセス・ストーリーだ。
 ご存知の通り、ロワゾー氏は2003年に猟銃自殺。原因は不明だが、ゴー・ミヨーやミシュランでの降格が理由のひとつとうわさされたものだ。

 おいしい料理を提供するだけでは、ミシュラン3つ星を獲ることができない。この本を読むとそんな裏事情が見えてくる。
 そして、ミシュランの星に”憑かれる”と、本当に”疲れる”ことがよくわかる。

 栄光の座を自ら降りたローランジェ氏。
 メゾンは閉めるが、「今後はもっと広く、多くの人々に向けて料理をしたい」と、ビストロ「Le Coquillage」でその創作活動は続けるという。スパイスの研究も。

 思い切った”かじ切り”に拍手を送りたい。

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2008年11月 4日 (火)

国民的ボンボン、TAGADA

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 TAGADA(タガダ)

 

 Fraise TAGADA(イチゴのタガダ)とも呼ばれる、マシュマロを砂糖でまぶしたイチゴ・フレーバーのむんむんする甘酸っぱい砂糖菓子だ。

 フランスの国民的ボンボン(←そんな言葉があれば)でもある。

 クマの形のグミ・キャンディで知られるドイツのHARIBO製だが、フランスで年間10億個も売れている人気ナンバーワンのイチゴちゃんだけに、フランス菓子と疑わない人も少なくない。HARIBO自体がフランスのメーカーだと信じている人もいるほどだ。マルセイユにはちゃんとHARIBO Franceもある。日本で言えば、ロッテ(韓国)みたいな存在だろうか。フランス・ハ(ア)リボのオリジナル商品なのかもしれない。


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 私には香料が強すぎる。色もスゴイ。イチゴというより赤血球みたいだ(類似品では三角のものもある)。外側をコーティングする、赤く色づいた砂糖がジャリッとするのもなんとなく苦手な感じ・・・なのだが、ひとつ、ふたつ、なんとなく口にしてしまう。

 地味な色合いのグミがなんとなく無害なお菓子のイメージがあるのとは対照的。ギモーブ(マシュマロ)と香水好きのフランス人たちを引きつけてやまないのもうなずける。

 来年、2009年はTAGADA誕生40周年だとか。かわいらしい関連グッズなども期待できそう。


P1110762  ※写真左は、2007年5-6月にサン・ジェルマン界隈で開催された食とファッションのコラボイベント、Sweet’Artでの1枚。

 アニエス・bのウインドーに展示されたJoel Hubautというアーティストの作品では、ウサギちゃんまでタガダをむさぼり食べている。

 口の染まりかたにちょっとドキッ。


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 ※ドイツ・フランクフルトの街角に立っていたHARIBOスタンド。好きなものを欲しいだけスコップですくう量り売り。ハート柄の紙袋がキュートだ。

 さすが本場。「こんな種類もあるんだ〜」と珍しさも手伝い、ついつい買いすぎてしまうのだった。

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