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2007年2月26日 (月)

道具馬鹿一代  ⑦トルコのチャイグラス

                                   

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 ブックオフ2ユーロコーナーで買った本も、アマゾンで取り寄せた本もすべて読んでしまった。仕方なく、友人から譲り受け、大切に取っておいた、『深夜特急』(全6巻、沢木耕太郎著、新潮文庫)に手をつけた。大沢たかお主演のテレビ版は好きだったが、なぜかオリジナルに縁がなかったのだ。

 

 香港からロンドンまで、乗り合いバスで放浪する旅の間、「私」がチャイ(お茶)を飲む場面が何度も登場する。トルコのイスタンブールで、アジア側からヨーロッパ側に渡る船の中でも。

 ほんの15分ほどの乗船時間だが、香港からシルクロードと、アジア各国を渡り歩いてきた「私」が、ヨーロッパ大陸を目前にし、チャイを手に感慨にふける大切な場面だ。


 

 トルコを旅した思い出がよみがえった。
 2年前、私も両岸を行き交う船に乗り、チャイを飲んだ。私の場合、ヨーロッパ側からアジア側に渡っただけで、それほどの感慨はなかったのだが、雨が降る肌寒い日だったので、熱いチャイがありがたかった。(写真右:アジア側の商店街の鮮魚店)
 

130  船の中でチャイ売りが回ってくるのに驚いたが、滞在するうちに、トルコの人は、しょっちゅう、チャイを飲むことに気がついた。

 店に入れば、「まあ、チャイでも飲んでいきなさい」と出してくれる。屋台に出た靴屋さんで買い物をした時は、通り過ぎるチャイ売りを呼び止め、チャイをごちそうしてくれた。

 最初こそ、「絨毯を売りつけようと、下心があるのでは?」「眠り薬が入っていたら?」と身構えたが、しばらくすると、「そういうものか」と遠慮なくごちそうになるようになった。

 「普通のと、アップル味、どちらがいいですか?」と訊かれる。甘酸っぱいアップル・ティは粉末で売られているもの。スーパーで、ピラフの素や、粉末スープなど、トルコ食材と一緒におみやげに買うと、小さな受け皿付きのチマチマしたチャイグラス・セットまで欲しくなってしまった。道具馬鹿っぷり、炸裂、in トルコ。

 

110 おみやげ屋さんが集まる、グランド・バザールへ。(写真右)
 チャイ・グラスはいたるところで売られている。
 好みの柄のグラスを見せてもらう。美しいカッティングを自慢するかと思いきや、店の人はいきなり、グラスを地面にゴンゴンとたたきつける。「やめて!」と叫ぶと、相手はニヤリ。どこでもチャイの盆を持ち運ぶ習慣だから、落ちても「割れない」ことが一番大切らしい。

 選んだら、値段交渉。トルコでは言い値で買ってはいけない。
 かなりしつこく値切ったつもりだったが(値段は忘れました)、翌日、同じようなものが、町中のスーパーで桁違いに安く売られているのを発見。

 店のお兄さんは「スプーンもつけますから、もうこのへんで勘弁してくださいよ〜」と困り顔だったが、あれも演技だったのか。こちらとしては、買い叩いたつもりだったのに。百戦錬磨のグランド・バザールの商人には、私のような観光客は赤子の手をひねるようなものなのだろう。

 しかも、帰宅後、開けてみると、受け皿とグラスの模様が全く違うではないか! この勝負、私の完敗。

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 ○BOOK-OFF パリ・オペラ座店
  29-31, rue Saint-Augustin
  75002  Paris
  TEL:01 42 60 00 66

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コメント

いつもの料理話もワクワク、楽しく読んでいますが、旅の思い出もいいものですね。
私もトルコにしばらく滞在しました。Farafelさんのお話のように、本当にちょこちょこと、一日何度もお茶を飲む習慣のある国ですよね。
そして、お茶だけでなく、食べ物も、人と分け合うor振舞う文化に驚きました。タバコを吸う人同士でも、自分が吸う時は、その場に居る喫煙者みんなに「どう?」とすすめてから吸っていました。また相手からも同じお返しがあるんですが、食べ物にしても、そんな感じでした。
ずるがしこい商人や、睡眠薬強盗など、怖い事件もありますが、人情のある人たちだと思いました。

投稿: めめ | 2007年2月26日 (月) 20時33分

めめさん、こんにちは。

トルコはどのあたりを回られましたか?
私は、イスタンブールとエフェスだけなので、内陸(というのかな?)のほうは、全く観たことがありません。
カッパドキアとか、行ってみたいですね。
いつになるやら。

イスタンブールでは、楽しい思い出はもちろん、うんざりするような思い出もたくさん。
特に絨毯! 人間不信になりそうでした。
でも食べ物は、相当、おいしかった! さすがです。

投稿: farafel | 2007年2月28日 (水) 08時37分

トルコでは、ほとんどイスタンブールで過ごしてましたが(季節も悪く、寒くて体調を崩しました)、カッパドキアには足を運びました。
トルコ人乗客にまざって、夜行バスで現地に行き、ターミナルにあった旅行会社の現地ツアーに参加しました。
各国からの参加者がいて、ガイドの説明を聞きながらヴァンで移動しました。渓谷を歩くコースでは、ところどころに洞窟があり、中の壁には、キリスト教にちなんだ絵が描かれており、当時の迫害を受けた痕跡で、絵の顔がつぶしてあったりもしました。
ツアーとは別に、現地の人の洞窟の家もちょっとのぞかせてもらったり。カッパドキアは本当に独特の、面白い場所で、また行ってみたいです。
そうそう、イスタンブールの商人は(絨毯などの)、観光客ずれしていて、日本語もちょっとしゃべれて、信用ならないですよね。
特にトルコ人男性は、「すきあらば」という感じの人が多くて、女の1人旅にはちょっと疲れる感じも、確かにありました。

投稿: めめ | 2007年2月28日 (水) 10時49分

 チャイセット私もその昔買いました。(今は中国茶セットやベトナムコーヒーセットと共にどこに行ったか不明)ちゃんとこうして使っているなんて偉いです。しかもこんなに素敵な写真!とてもいいグラスに見えますよ!

 私はなぜかトルコとご縁があって7回も行く羽目になりました。最後の方は絨毯屋にも慣れちゃいました。でも大好きな国です。特に遺跡がいいです。(エフェソスとかベルガマとか)カッパドキアではあのキノコ型をくり抜いたペンションに泊まったりもしました。(そこで教えてもらった料理は今私の定番料理です)パムッカレでは遺跡温泉のホテルに泊まったり、普通の民家に泊まったり・・・。イスタンブール以外の地方は本当に良い方が多いですよ。親日的だし。
 次回はぜひゆっくり地方を回ってみてください。

投稿: madame-Y | 2007年3月 1日 (木) 17時49分

めめさん、こんにちは。

コメントのお返事が遅れ、申し訳ありません。

カッパドキアに行かれたのですね。
うらやましい。
洞窟に住んでいる人が、まだいらっしゃるのですね。おもしろそう。
こういう観光は、ワクワクしますよね。

それにしても、女性のトルコ一人旅は、かなり大変そう。
友人もやたらと声をかけられて大変だったと言っていました。


投稿: farafel | 2007年3月 2日 (金) 18時24分

madame-Yさん、こんにちは。

トルコに7回!
またどうして? 絨毯屋さんですか、ひょっとして(←冗談です)。

カッパドキアで伝授された家庭料理って何ですか? 教えてください。
私もトルコで家庭料理を習うはずだったのですが、予定が合わず・・・。

そうですね、いつかゆっくり地方をまわってみたいですね。

投稿: farafel | 2007年3月 2日 (金) 18時28分

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