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2007年2月 7日 (水)

スタージュ続行中。

                                               

Img_4528 「Vas-y, vas-y(ヴァズィ、ヴァズィ)!」

 「行け、行けー!」とでも訳そうか。
 こぶしを握った腕を前後に振るジェスチャー付き。「ノロノロするな!」に聞こえる。

 連日、”煽られまくり”のスタージュが続いている。

                                             
 
 スタージュも3軒目とはいえ、相変わらず、”使えないスタジエール(研修生)”の私。
 ほんの少しだけ、作業のスピードはアップしたかもしれないが、まわりのキュイジニエの中ではいつも置いてけぼりだ。

 そんな中、心の救いは、アプロンティ(見習い)達。
 若くして料理の道を選び、学校の授業と、レストランの研修を交互に受ける彼ら。
 一緒に働いている同僚は、地方から一時間半かけて毎日通って来る、真面目な16歳!
 当然、家で料理をしたことがない人も多く、食材も知らない。ピエ・ド・ムトンとジロールを間違えたり。
 新米のアプロンティは私から見ても危なっかしいほどだ。

 今日はその中の一人が、サービス中に何かしでかしたのだろう? うるさ型のシェフに叱られ、オイオイと泣いていた。トーションで涙を拭きながら。慰める余裕のある人は、残念ながらいない。 
 前のスタージュ先でも、こっぴどく怒られ、涙ぐむアプロンティを何度か見た。

 無理もない。
 サービス中、オーダーがたて込むと、調理場はものすごい緊迫感に包まれるのだ。

 違う種類の皿を同時に仕上げようとすると、ほんの2,3秒のロスが、後々響く。
 オーダーを聞き取り、取り掛かる順番を頭の中ですばやく組み立てなければならない。

 「Combien de temps?(そっち、あとどれくらいで出来る?)」
 「5 minutes!」
 攻防する怒声が、肉と魚担当の間で飛び交う。

 皿の盛り付けは、数人がかりで。周りをきれいに拭かれた皿が、セルヴーの手に渡るまでの流れは、あっという間。まるで、F1のタイヤ交換の場面のようだ。
 

 こんな”てんやわんや”の中では、どうしても、言葉も動作も荒くなる。
 
 口が悪いシェフが相手だと、仕上がりが悪いものは”クソ”呼ばわりされ、ダメだしされる。
 鍋や容器が音を立てて乱暴に積まれる。
 言わなくていい言葉を発する。
 フランス語がわからなくてよかった・・・とこの時ばかりは思う。どんな暴言を吐かれても、傷つくことはないからだ。

 サービス後、夜用のアスパラガスの仕込みをしながら、シェフがポツリと言った。
 星付きレストランばかりを渡り歩いてきた人だ。
 「僕は、いまだに、時々、悪夢を見るんだよ・・・」
 
 
 調理場のプレッシャー。
 乗り越えて作った料理は、「おいしい、いやおいしくない」と周りから突付かれる。
 しかも、フランスには『ミシュラン』というやっかいな本まである。
 オーナーシェフになれば、経営も考えなければならない。Img_4540
 
 新米からベテランまで。キュイジニエの仕事につきまとうプレッシャーの大きさは計り知れない。

 
 それに比べれば、私の疲れなど大したことはないけれど、身体は糖分摂取を望んでいる。ムショウに甘系が食べたくなる。
 
 まかないで、普段なら手に取らない、チョコレートのムースを。
 それだけに飽き足らず、閉店前のフォションに駆け込み、エクレア&モンブランを。フォションお得意の”オサレ・エクレア”シリーズ冬ヴァージョン

 まだ、食べたい・・・。
 
 

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コメント

こんばんは。美味しそうなケーキとエクレアですね。。
こちらに来てフォションのケーキ食べてないので、今度買ってみようと
思いました。疲れているときは甘いものが欲しくなりますよね。
スタージュ頑張ってください。  m。

投稿: m et a | 2007年2月 7日 (水) 08時35分

mさん、こんにちは。

フォションのケーキは美しいですよね。
エルメほか有名パティスリーの影で、なかなか目立てないのが、ちょっとかわいそうなくらい。

個性的なエクレアに注目してしまいます。
夏の”アクアフレッシュ”(←喫茶ぶろぐのsayagataさん命名)ヴァージョンを試したかったのですが、時期を逸しました。今は、ド紫のが気になります。

投稿: farafel | 2007年2月 7日 (水) 09時11分

あ~ぁ懐かしいそんな緊張感・プレッシャー。
大変だけど、うらやましいです、頑張ってください^^
帰国以来ぬるま湯漬けで、何時も心ココにあらず状態が続いておりますデス。

チョコフォンダン・チョコクリームの濃厚なエクレアは私の何よりの大好物。。。うぅ

投稿: haruka | 2007年2月 7日 (水) 17時20分

farafelさん、お疲れさまです!
すごいなぁ。この緊張感。そして、それが良く伝わる文章ですね。
やっぱり肉体的にも精神的にも疲れると甘いものが欲しくなるのはなんでなんでしょうね。甘い物って優しい感じがするからかなぁ。
ところで、今日の最初の写真、チョコレートのムースかな。の、上にのってる銀色のヒラヒラはなんですか?
実は、今日行ったカフェの紅茶のムースの上にもそっくりの物が!
金箔は見たことあるけど、これは銀箔?

投稿: めめ | 2007年2月 7日 (水) 19時38分

harukaさん、こんにちは。

お疲れ様でっす。

若いharukaさんならともかく、老体に鞭打ちながら、やってますよ。
あのプレッシャー。またまた白髪が増えそうです。

日本にはこんなエクレアないのだっけ?

投稿: farafel | 2007年2月 8日 (木) 08時54分

めめさん、こんにちは。

モンブランの上のひらひらは金箔でした。

にゅるにゅるのモンブランも、フォションのシェフの手にかかれば、ほら、この通り!なのです。

投稿: farafel | 2007年2月 8日 (木) 08時55分

まるでドルビーサラウンドのような臨場感溢れるレポート。
キビシイ世界ですねー。そこらへんの日本の高校生にも体験させて
みたいですなあ。とは言え、小生も仕事に関しては尻に火が付いて
から派ですが(笑)

フォションのエクレアは写真でしか見たこと無いですが
えらいドギツイ色ですなあ。
今度パリ行ったら怖いもの見たさで食べてみたい(笑)

何はともあれスタージュ頑張ってくださいね!

投稿: らんぶろ | 2007年2月 9日 (金) 18時56分

らんぶろさん、こんにちは。

スタージュ、終わりました。
脱力の週末で、皆さんへのお返事が遅れました。

ハードでしたが、美しい盛り付けなど、小ネタをたくさん仕入れられ、収穫豊富でした。

フォションのエクレア、おもしろいですよね。
新作がちょっと楽しみ。

投稿: farafel | 2007年2月11日 (日) 23時06分

始めまして。いつも楽しく拝見しています。
私も現在パリのレストランで修行中のcuisiniereです。
本当に共感する部分が多く、コメントをさせて頂きました。
甘いもの欲しますよねーーー。糖分を体が求めます。
体力の限界と理想と現実の狭間で悶絶中です。
そんな中こちらのブログを覗くのが楽しみです。
応援しています。

投稿: chocolat | 2007年2月12日 (月) 01時10分

chocolatさん、こんにちは。
はじめまして。

お読みいただき、光栄です。

私など、へなちょこ・スタジエールです。
共感していただくなど、滅相もないです。
プロの方の実感にはほど遠いでしょうが、私なりに、キッチンで感じたことを書かせていただいております。

残念ながら、スタージュは終了。
こちらこそ、応援させていただきます。
お体にお気をつけて、修行に励んでくださいね。

これからもよろしくお願いします。

投稿: farafel | 2007年2月12日 (月) 08時36分

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