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2006年6月16日 (金)

48H avec Pierre Gagnaire

 置いている店が少ないのと、季刊なので忘れてしまい、なかなか入手できなかった雑誌『Cuisine Creative』(http://www.cuisinecreative.com/)。

 発売中の24号の特集が、ピエール・ガニェールの48時間密着(?)取材だったので、迷わず買った。

Kantou  このところ、才気あふれる"厨房の芸術家"の快進撃は止まらない。

 三ツ星の”Pierre Gagnaire”、オープン程なくして一ツ星を獲得した”Gaya Rive Gauche”に加え、ロンドンの”Sketch”、東京の”ピエール・ガニェール・ア・東京”。次は香港へ進出するという。
 
 
 ルポでは、当然ながら目まぐるしいガニェール氏の日常が明らかに。
 
 ガヤ、ピエール・ガニェールを行き来しながら、数々の打ち合わせ、取材をこなす。その間、新しいルセットも次々と生み出していく。髪を乱し、時に苦渋に満ちた表情を浮かべながら。それなのにエレガントでもある。

 取材2日目、パティスリーのシェフとの打ち合わせの様子が興味深い。数日前から浮かんでいるイメージを紙上に描き、固めていく作業だ。ルセットは必ず、紙におこすらしい。

 「マシュマロ、森のイチゴ、待って、待って・・・。うーん、わからないな・・・、やってみるか。うん、マシュマロ、シュトゥルーデル、・・・イサラのジュレ、キューブ状になるように、ちょっと固めで・・・アスパラガスのアイスにとろみのあるオレンジのシードル。いや、これじゃ納得できない。もう一回やり直しだ」

Naka 長い沈黙。頭を抱えてみたり、テーブルを指で叩いたり。新しいルセットが生まれても、盛り付けるのは皿なのか、グラスなのか。平たい皿か、高いのか。沈黙とテーブルを叩く音が続く。そして浮かんだアイディアを一気に出す。「よし、できた!」

 ガニェール氏はパティスリーの専門ではないが、デセールもメゾンのスタイルに首尾一貫すべきと考える。現在、多くのレストランでは料理とデセール部門の間に距離があるが、ガニェールではそうならないようコントロールしていると語る。

 ガニェールの料理部門は、24年間共に働くMichel Nave(MOF保持者)がシェフ。以下、約15人のスタッフでガニェールの世界をかたちにしていく。

 インタビューの中での印象的な言葉。
 "La cuisine, ce n'est pas 《mode》, c'est avant tout quelque chose qui produit de la convivialite, de l'emotion et du plaisir."(料理とは、《mode》ではない。それは何よりもまず、懇親性、感動、喜びを生み出すものなのです)

  エルヴェ・ティス博士との共著のタイトルも《La cuisine, c'est de l'amour, de l'art et de la technique》(料理とは、愛、アート、そしてテクニックである)。

 
Hyoushi このまま、多店舗展開の、実業家シェフになるのか・・・と心配していたが、どうやら違うらしい。料理へのパッションを受け止めるキャンバスが増えただけのこと。

  成功や栄光によって変わることがない。注目されがちな分子ガストロノミーの研究も、表現の手段の一つにすぎない。

 最先端フレンチの第一人者は、ただただ料理を愛する、正真正銘のアーティストなのだ。 

※表紙はもちろん、ムシュー・ガニェールによるもの。Pulpe Rouge, tomates Tamarillo, betteraves rouges, sabayon de cassis.

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コメント

こんにちは!彼への愛が伝わって来ますね。
彼がデザートを生み出す様子の言葉を見て、以前お昼を食べに行った時に、出されたデセールの事だなと。

こんな風に、考えていたのか・・・と。
もちろんこの2品とても美味しく頂いたので、凄く印象に残っています。

投稿: haruka | 2006年6月18日 (日) 17時38分

harukaさん、こんにちは。

あ、バレました?

かなり”アツイ”人みたいでした。読んだかぎりは。

48時間追跡取材なんてうらやましい。
何度か消えるんですよね。その間、どこで何をしているのでしょう?

投稿: farafel | 2006年6月19日 (月) 06時49分

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受信: 2006年6月20日 (火) 10時42分

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